判断能力の低下が見られる方や、自分や家族の将来に不安をお持ちの方を法的にサポートする成年後見制度(広義)。
今回は、事前に知っておきたい成年後見制度のメリット・デメリットを一緒にチェックしていきましょう。

1.成年後見制度のメリットとは

①本人に代わって財産管理ができる

成年後見制度には、家庭裁判所から成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)を選んでもらう法定後見制度(法律による後見制度)と、契約であらかじめ後見人(「任意後見人」といいます)を定めておく任意後見制度(契約による後見制度)がありますが、成年後見人等及び任意後見人は、判断能力の低下によって本人では困難となった不動産、預貯金及び有価証券等の管理を本人に代わって行うことができます。

②契約の取消しができる

成年後見人等には取消権があるので、本人にとって不利益な契約を後から取り消すことができます。例えば、本人が、訪問販売によって大量に不要な健康食品等を購入してしまった場合等に、成年後見人等はこの取消権を行使することが考えられます。
なお、自分の判断能力が衰えてきたときのことを想定し、あらかじめ契約によって定められた任意後見人はこの取消権を行使することはできません(もっとも、上記の事例では、任意後見人であっても、いわゆる訪問販売での契約のクーリングオフや取消権(特定商取引法第9条、第9条の3)等を行使できるため、支障はありません)。

③裁判所の監督機能がある

成年後見人等及び任意後見人は裁判所の監督のもとに業務を行います。そして、本人のために使った費用はすべて記録し、家庭裁判所(任意後見人の場合は任意後見監督人)に報告します。

2.成年後見制度のデメリットとは

①自由に財産の処分ができなくなる

本人の財産は家庭裁判所の管理下におかれ、家族であっても自由に使うことはできなくなります。また、投資や相続税対策も基本的にはできなくなります。

②本人の資格、地位が制限される

成年後見制度のうち「後見」、「保佐」がスタートすると、医師、弁護士等の資格や、会社役員、公務員等の地位を失うこととなります。特に、本人が役員報酬を収入として取得している場合は、これを失うことになるため、要注意です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
日常生活での問題を防ぎ、権利を守る成年後見制度。メリットデメリットを知り、安心できる暮らし作りに上手に活用しましょう。
「成年後見」に関することでお悩みのことがございましたら、お気軽に「えん道の会」までお問い合わせください。
 お問い合わせはこちらから→「えん道の会お問い合わせフォーム