成年後見人制度を利用したい。
手続きの方法は難しいのか、また、書類は何を用意したらいいのか分からない方も多くいらっしゃると思います。
書類収集、作成には時間と手間もかかります。そんな作業が少しでも手続きしやすくなるように簡単にまとめてご紹介します。
成年後見人制度を利用するメリット
成年後見制度の利用をする上で大きなメリットとなるのが、ご本人様の預貯金等の管理です。判断能力が衰えてからの金銭管理は、成年後見人にお任せしておけば、ご本人の財産の中から必要な支出をしたり、収入がある場合は途絶えないように管理してくれます。
この他にも、介護施設の入居や相続手続き等のために成年後見制度を利用するケースが増えています。
成年後見人申立てに必要な書類
一見難しそうな申立てですが、必要な書類を手に入れれば、ご本人や親族の方が記入するだけで簡単に手続きすることができます。標準的な必要書類は下記の通りです。
①申立書
②申立事情説明書
③親族関係図
④本人の財産目録及びその資料
⑤本人の収支報告書及びその資料
⑥後見人等候補者事情説明書
⑦親族の同意書
⑧本人及び後見人等候補者の戸籍謄本
⑨本人及び後見人等候補者の住民票
⑩本人の登記されていないことの証明書
⑪本人の診断書
⑫愛の手帳の写し
なお、手続きに要する費用は以下の通りです。
ⅰ申立て手数料(収入印紙)
・800円(同意権または代理権の付与の申立てを行う場合は、さらに各800円)
ⅱ登記手数料(収入印紙)
・2,600円
ⅲ送達・送付費用(郵便切手)
・3,200円(後見の場合)または4,100円(保佐・補助の場合)
ⅳ鑑定費用
・実費(5~10万円程度)
成年後見人制度の手続き方法について
ここでは、家庭裁判所に成年後見の申立てをした後の手続きの流れをみていきましょう。
なお、申立てから審判までの期間は事案にもよりますが、2ヶ月以内で審判に至るのが全体の約8割で、制度開始当初と比べると審理期間は大幅に短縮しています。
1 家庭裁判所への申し立て
2 家庭裁判所の調査官による事実の調査
申立人、本人、成年後見人(保佐人、補助人)候補者が家庭裁判所に呼ばれて事情を聞かれます
(3 精神鑑定 ※実際に精神鑑定が行われるのは稀で、申立て全体の約1割に過ぎません )
4 審 判
申立書に記載した成年後見人(保佐人、補助人)候補者がそのまま選任されることが多いですが、場合によっては家庭裁判所の判断によって弁護士や司法書士等が選任されることもあります
5 審判の告知と通知
裁判所から審判書の謄本が届きます
6 法定後見開始 ※東京法務局にその旨が登記されます
まとめ
文章で書くととっつきにくい感じがしますが、一度手続きをしてしまえばあとは流れ作業で審理は進みます。信頼できるお身内の方が後見人として選任されるのは安心ですし、もしお身内の中で紛争などがある際は、第三者である弁護士等の専門家が選任され、財産や身上を守ってもらえます。
なお、成年後見制度は法定後見制度と任意後見制度からなり、法定後見制度はさらに後見、保佐、補助の3つに分けることができます。任意後見制度は本人の判断能力が衰える前から利用できますが、法定後見制度は判断能力が衰えた後でないと利用できません。
ご本人の状況に応じて、適切な後見制度を申し立てる準備を行うことをお薦めします。