老人ホームなど高齢者施設への入居を考える際、多くの施設で身元保証人が必要となります。しかしながら、一人暮らしの高齢者は増加傾向にあり、身元保証人をお願いできる親族がいない、という高齢者も増えています。
老人ホームへの入・退去に関する身元保証人の役割について確認してみましょう。

身元保証人の役割とは

身元保証人には大まかに下記のような役割が求められます。

1債務の連帯保証

入居者が施設に対して負う月額利用料などの支払い債務の連帯保証人としての義務を負います。

2緊急時の連絡対応

施設から、入居者が病院などに緊急搬送された場合の対応を求める連絡や、入居者の意思確認ができないときの判断を求める連絡を受けることがあります。

3諸手続き

入居者が入院時に必要な諸手続きや同意書へのサイン、施設退去時の入居者の身柄や荷物の引き取り、その他手続きを行います。

4お身柄の引き取り・お部屋の荷物の引き取り

入居者がお亡くなりになられた場合のお身柄やお部屋の荷物の引き取り、施設利用料や入院費用の精算を行う必要があります。

成年後見人は身元保証人になれるのか?

成年後見人は判断能力の低下した本人に代わり契約行為や財産の管理などを行う立場にあります。
これに対し、身元保証人については、前述の通り、連帯保証人でもあるため、本人の代わりに立て替えた費用などは、本人に請求する立場にあります。
そうしますと、成年後見人が身元保証人を兼ねた場合、本来、本人の財産を守るべき立場にある成年後見人が、本人に対し、立て替えた費用などを請求できることになってしまうため、成年後見人が身元保証人になることは好ましくないといえます。
成年後見人がいれば身元保証人は必要ないと思われている方もいらっしゃいますが、両者の役割は大きく違うのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。家族関係が希薄になりつつある現代において、身元保証人を探すことが難しい高齢者も多くなっています。
この場合、判断能力が低下する前に契約で予め後見人を定めておく「任意後見制度」を活用することで老人ホーム等への入居交渉が可能となることもありますので、このような制度の利用を検討するのも一つの手段といえるでしょう。

老人ホームの入・退去に伴う身元保証人について、お困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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