老人ホームなど高齢者施設への入居の際は、多くの施設で身元保証人が必要となります。しかし、身元保証人をお願いできる親族がいない、または遠方の子供に迷惑をかけたくない、といった理由により、身元保証人の確保に困る高齢者が増加しています。では、身元保証人がいない高齢者が施設へ入居したい場合は、いったいどうすればよいのでしょうか?

高齢者施設入居で求められる身元保証人とは

身元保証人にはどのような役割が求められているのでしょうか。大きく分けて3つほどあります。

1.治療方針の判断や入院の諸手続き(役割①)

施設へ入居中の介護方針の判断、病気やケガにより病院で治療を受けたり、入院が必要となったときの治療方針の判断や入院手続きなど、ご本人が行うことが困難な場合には、これらを身元保証人が行います。もっとも、法律上、身元保証人は、本人に代わって治療方針の判断や医療行為の同意権限はないため、注意が必要です。

2.利用料などの金銭的保証(役割②)

身元保証人が入居者に代わり、連帯保証人として入居者が施設に支払う月額利用料金などの支払いの責を負うこととなります。

3.身柄の引取り(役割③)

入居者が亡くなった場合には、身元保証人が、身柄や荷物の引取り、部屋の明渡し及び入院費用・施設利用料の精算を行う必要があります。

身元保証人に代わる任意後見制度とは?

身元保証人がいない高齢者でも、任意後見制度を利用することにより施設への入居が可能となるケースがあります。
ここで任意後見制度とは、今は問題がないけれど、将来判断能力が不十分になったときに代理権を与える「任意後見人」を、自ら事前の契約により決めておくというものです。この任意後見人は、特に金銭的保証の面で本人と利害が対立する身元保証人に就任することはできません。
しかし、本人に代わり、入退院の手続きや場合によっては本人死亡時の身柄の引取りもできるため、この任意後見制度を活用することで、身元保証人を立てずに入居を認めてもらえる場合もあります。
もっとも、最近では、身元保証人の代わりとして、任意後見制度の利用を認める高齢者施設も増えてきているようですが、運営施設側の理解が不可欠となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。超高齢社会といわれる現在、身元保証人がいないために、施設への入居をあきらめる高齢者も出てきています。今後どのような老後を過ごしたいか、そのためにはどのような準備をしておいたらよいのか、家族で話し合いをしたり、専門家へ相談をしておくと安心ですね。

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